あらすじ

〈あらすじ〉  巨大な聖樹から王族が生まれる樹海国家アル・タウル。  十六人の王子・王女は、最後の一人になるまで殺し合う『血の巡礼』によって次の王を決める。  双子果から生まれた王女・ンは、胎内で双子の兄・アに全ての力を吸い取られた最弱の存在だった。空洞の骨、鳥のように軽い身体——「空っぽの器」と蔑まれながらも、ンは類稀な知性と観察眼で生き延びる道を探る。  十五歳の誕生日、守護獣の儀式でンの前に現れたのは、巨獣でも魔物でもなく、十歳にも満たない童女の姿をした聖剣・シルムだった。尊大で食いしん坊、しかし死の気配を纏うこの少女との出会いが、ンの運命を変えていく。  血の巡礼が始まり、兄弟たちは次々と命を散らしていく。  ンを鍛えてくれた優しい兄・ギを、ンは自らの手で射抜く。陽気な兄弟エとゲォは、笑いながら命を託して逝く。そして孤高の兄・ヴェは、火が禁じられたこの世界で自らの魂を炎に変え、最強の姉・イを道連れにした。  ンは誓う。  誰の命も食べない。  空っぽのまま、全ての種を集めて王になる、と。だがその裏で、ンの本当の願いは——兄のアを王にすることだった。  全てを見抜いていたアは、ンの知らぬ間にシルムと「共犯」となり、自らの命を差し出す。シルムは主を守るため、二度と戻れない聖剣の姿となった。  十五人の兄弟の命を胸に抱き、たった一人で世界の果て・エルザバードに辿り着いたン。だが外の世界が彼女に向けたのは、歓迎ではなく銃弾だった。  涙が枯れた大地に落ちた時、十五の命が呼応し、爆発的な緑が世界を覆い始める。  最弱の少女は、兄弟全員の想いを宿す「壺」となり、狂った世界を変えるために歩き出す。  殺した数だけ名前が伸びるこの国で、彼女の名は最後まで一文字。  ン——最弱姫と。

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カクヨム
カクヨム2026/03/25
  • 現在の作品王は兄弟を斃す