あらすじ

夫が処刑台に立っている。 公爵夫人セレナは三年間、名前すら呼ばれない結婚を生きてきた。 夫の領地を支え、三ヶ国との外交を一手に引き受け、条約を結び、民を守った。 その功績はすべて夫の名前で記録され、セレナの名前はどこにもない。 夫には愛人がいた。知っていた。 愛人が敵国の手先だったことは、知らなかった。 密書を手にしたセレナは、静かに婚姻の無効を申し立てる。 三年分の外交記録に残された、たった一つの証拠。 すべての条約文の末尾にある署名。セレナ・エルンスト。それだけが、消せない真実だった。 隣国の宰相から届く書簡には、いつも一行だけの追伸がある。 その追伸が五行に増えた日、セレナは初めて涙を流した。 なぜ泣き止んだのか。 その答えを、彼女はまだ言葉にできない。

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小説を読もう2026/03/25
  • 現在の作品白い婚姻の果て