あらすじ
村人が二人、洞窟へ向かったきり戻らなくなった。
捜索に向かった男たちもまた、消息を絶つ。
やがて帰還したのは、ただ一人。
彼は語る。洞窟の奥に“何か”がいたと。
仲間は、目の前で喰われたのだと。
その夜。
村には、静かに“それ”が訪れる。
音もなく、形もなく。
ただ、ぬめるように這い寄り、
人を喰らう存在。
抵抗も、悲鳴も、意味を持たない。
気づいた時にはすでに遅く、
村は少しずつ、確実に喰い潰されていく。
そして数日後。
ギルドに貼り出された一枚の依頼書を手に、
ひとりの少女が村を訪れる。
「村人二名の捜索」。
軽い気持ちで引き受けたその依頼が、
すでに終わっていることも知らずに。
人の気配が消えた村。
残されたのは、奇妙なぬめりと、
無残に散らばる“食い残し”。
異常に気づき、逃げ出そうとする少女。
だが、その時――
ずるっ……
ずるっ……
何かが、確実に近づいていた。
“それ”は理解する。
自分が何者だったのかを。
“俺”は理解する。
生まれるべきではなかったことを。
倫理と本能の狭間で、
揺れ動く心の行き着く先は何なのか。
生きる事が罪ならば、
食べる事もまた罪なのか。
さあ、命に感謝して手を合わせましょう。
『いただきます。』