あらすじ
スペイラ帝国アルコルコン男爵家の長男アクセスは、前世が陶芸家という異色の経歴を持ち、「手作り陶芸」にこだわる変わり者だった。しかしこの世界では土魔法によって一瞬で陶器が作られるのが常識。非効率な手作業を続ける彼は、弟や婚約者エレナに嘲笑され、ついには家から追放されてしまう。
行き着いた先は、貧しいレタフェ伯爵領の陶芸村。売れない日々が続く中でも、アクセスは土と向き合い、ろくろを回し続けていた。そんなある日、森で魔物に襲われていた少女を助ける。彼女は領主の娘、伯爵令嬢マリアだった。
後日、工房を訪れたマリアは、アクセスの器に聖魔法をかける。しかし本来は定着しないはずの聖魔法が、彼の器には宿った。魔法で作られた陶器には魔力が残るが、手作りの器にはそれがないため、聖なる力を受け入れられたのだ。
こうして「魔除けの器」は評判を呼び、村は一躍活気づく。注文が殺到し、かつて見下していた実家からも復帰要請が届くが、アクセスはそれを拒否する。自分の好きな陶芸と、隣で笑うマリアとの日々こそが、彼にとって何より大切だったからだ。
追放された元貴族は、聖女と共に、手作りの価値で人生を切り開いていく――これは、ゆっくりと幸せを築く陶芸スローライフの物語。