あらすじ
寛仁三年(一〇一九年)、筑前博多津では刀伊から感染した〝人形病〟が流行していた。人形病とは、患者の顔が剥がれることから始まる。ぽろぽろと雫のように肌が零れると顔は〝お面〟となり、剥がれたあとは何一つ変わらない人の顔となる。
これを誰かが〝人形病〟と名付けた。
人形病の特異は、まさに人形のように動かなくなる。目睛(もくせい)が合わなくなり、言葉を上手く発せなく、魂が抜かれた情態となる。人形病となった者の末路は、石のように動かなくなり、絶命する。これを〝人形化〟と呼んでいた。
本山(もとやま)幸(さち)はある日、娘の美波の顔が剥がれ人形病となる。。
人形病になると博多津にある〝人形治し屋〟に行くことになる。人形屋の主、菖蒲は幸の夫を地下室(安置室)に預けているため互いに知り合いであった。幸は菖蒲に美波を預けるが、菖蒲に不思議な話を聞く。
人形病になった者のお面を被ると、それはお面とそっくりの人間になる。その人間のことを刀伊では〝模範人間〟と呼んでいた。
刀伊の者は博多津で人形病になった者のお面を探している。だから菖蒲は人形病になった者のお面を預かって守っているのであった。
その時期、博多津では盗賊が出ると噂が回っていた。盗賊は何やら〝お面を探している〟という。菖蒲の話で盗賊が刀伊だと気付いた幸はそのまま人形治し屋に美波を迎えに行く。
しかし人形治し屋は盗賊──、刀伊に占領されていた。
菖蒲の相棒の安倍晴明の孫、晴秋は菖蒲にお面を渡す。菖蒲が刀伊で実験を受けた〝模範人間〟であることを見破っていた晴秋は、お面を被り刀伊と戦うことを告げる。
菖蒲はお面を被ると天女のように別人に変化する。圧倒的な戦闘力で刀伊の者を倒し、人形治し屋を守り抜いた。