あらすじ
遠い未来,人類は究極の科学「魔法」を完成させ,魂を完全に数値化することに成功した。彼らは全ての人類の理想にかなう「桃源郷」をネットワーク上の仮想空間に作り出し,数値化されたその魂で「桃源郷」へと旅立っていった。
そうして最後の人類が肉体を捨て,仮想現実へと旅立ってから500年,地球文明は人間の魂を限定的に模倣した「ゴースト」を宿し,人間と同じ姿の体「義体」を駆るヒューマノイドを新たな支配者として栄えていた。
「国」という概念は消え,「企業」と「労働者」の二つの主体による新たな統治機構が構築された世界。「労働者」たるヒューマノイドは,所属する「企業」を自らの意思で選択する。そこには純然たる能力主義,効率主義のみが存在した。
全てのヒューマノイドは,生まれながらにして,自身の生産と存続に対する「対価」を納める義務を負う。ヒューマノイドの生産を事業とする「四次企業」は,そうして得た資金をもとに,新たなヒューマノイドを生産する。ここに,ヒューマノイドによる経済行動の根本を見言い出すことができる。
しかし,どの世界,どの時代にも,ルールに従わない異端が存在する。自身を生産した四次企業への「対価」を納めようとしない「違反」ヒューマノイドは必ず一定数おり,四次企業は彼らに対して強制執行による処罰を行う部署や部門を編成して対応にあたっていた。彼らがルールに従わないのは,その仕組への反発からか,はたまた処罰など恐れぬ存在だからか。
これは,とある強制執行員の,世界の仕組みから逸脱した異端達との死闘を記録した物語である。闘いの果てに彼らは何を見,何を思うのか...