あらすじ
恥の多い生涯を送った鈴木は、母親の期待に潰され、職場でいじめられ、肺病で命を落とした。ホスピスで看護師の琥珀さんと交わした会話の中で、次の世界があるなら誰かの役に立ちたいと、軽い気持ちで言った。
転生した鈴木は、シンガポール国立大学の研究所で、災害救助用に改造された昆虫サイボーグ、マダガスカルゴキブリになっていた。自分の意志では動けない身体で、日本の震災現場へ送り込まれた鈴木は、瓦礫の下にかつての宿敵、日出を発見する。
助けたくない。しかし身体はシグナルに従う。意志に反して、鈴木は日出を救った。
醜く、小さく、意志を持てない身体で、それでも誰かの役に立った男の、静かな魂の記録。