あらすじ
パニック障害を抱えながらも、生活のために電車通勤を続ける女性。三月の湿った夜、いつもは避けている混雑した車内で、彼女は“異様な男”の存在に気づく。
誰も気に留めないその男は、不自然な動きで座席を渡り歩き、やがて彼女に近づいてくる。さらに、見えないはずの“女の指”が彼女の身体を品定めするように叩き始める。
「これだ」
その瞬間、彼女は理解する。ここはただの電車ではない。乗客は運ばれているのではなく、“選ばれている”のだと――。
密閉された車内で、誰にも気づかれずに行われる選別。
その夜、彼女は静かに「消えた」。