あらすじ
「魔力こそがすべて」とされる王国。
第一王女ソレイアは稀有な属性を持ち合わせ、国を照らす「太陽姫」として万民の崇拝を集めていた。
対照的に、双子の妹ルナリアは魔力を持たぬ不具。姉の光に影を落とす存在として、人々は彼女を「月姫」と呼び蔑んでいた。彼女はただ離宮の隅で、忘れられたようにひっそりと日々を過ごしていく。
天才魔導士レグナード・クローヴィス。
ルナリアが密かに心を寄せる彼もまた、太陽姫ソレイアの傍らに立ち、その眩しさに目を奪われ続けていた一人だった。
ある日の静寂に包まれた図書室での邂逅が、レグナードとルナリア二人の運命を狂わせていく。
「図書室は君に似合うと言っただろう? あんな騒がしい場所に無理して馴染もうとするより、ずっと合理的だ。数週間経っても、律儀にその言葉を守っているのは君くらいだよ」
傲慢な魔導師がふと漏らした、冷たくも理知的な言葉。それが、太陽に隠されていた月の輝きを暴く最初の鍵となる。
やがて解き明かされる、ルナリアの秘密。
これは世界に背を向けられた少女と、知性や『理』を愛した天才魔導師の執着と救済の物語。