あらすじ
令和X年。白昼の閃光と共に、福岡県は地球という世界から丸ごと切り離され、剣と魔法、そして絶対的な宗教的教義が支配する異世界へと転移した。
未知の魔獣が跋扈し、理不尽な「神の奇蹟」が飛び交うファンタジー世界。だが、絶望のタイムリミットが迫る中、福岡の大人たちは決して神に祈ることを選ばなかった。
「魔法? そんなものは、この世界の物理法則(OS)への不正アクセス(バグ)に過ぎない」
九州大学の天才科学者たちが打ち立てた『因果律物理学』と、魔法を強制終了(デリート)させる物理法則維持装置『AMDI』を武器に、福岡は圧倒的なテクノロジーによる壮絶なデバッグ(生存競争)を開始する。
前線で理不尽をねじ伏せるのは、異界の環境に適応しすぎた「規格外のバグ・ハンター」たち。
魔法すら「純粋な筋肉(質量×加速度)」で粉砕する歩く広域破壊兵器の少女。未来を予約して“必中”を確定させる万年二士のチート狙撃手。上空から世界の綻びを監視する不自由な空の女王に、世界をハッキングする黄金の檻の魔女。
だが、この物語の真の主役は彼らだけではない。
バケモノじみた若者たちが破壊した街の「賠償見積もり」と「始末書」を音速で書き上げる自衛隊の副分隊長。
剣を抜いた異界の聖騎士を「印鑑登録には住民票が必要です」と日本の事務手続き(書類の壁)で絶望させ、条例違反の重力で床に沈める市役所の窓口職員と最強のパート主婦。
そして、物理法則が腐り落ちた死の荒野に全長350kmの『資源回廊』を敷設し、福岡のネオンを灯すために10トンのデコトラで爆走し続ける名もなきトラック野郎たち。
『福岡異世界転移史』は、魔法無双の英雄譚ではない。
神の奇蹟すらも「不法投棄された産業廃棄物」として処理し、異世界の神秘を「スーパーの特売品」や「期限切れのアイスの当たり棒」で蹂躙していく。
胃に穴を開け、泥を被りながらも「昨日の続きの日常」を強引に回し続ける、福岡の狂おしくも愛すべき大人たちの労働記録である。
理不尽なファンタジー世界を、泥臭い労働と終わらない事務作業、そして圧倒的な暴力(物理)で上書きしていく、最高に痛快な生存戦略がいま幕を開ける!