あらすじ
地方の精神科病棟。そこには、さまざまな理由で「日常を続けることが難しくなった人たち」が集まってくる。
会社での過労と人間関係に限界を迎え、朝起きることすらできなくなった30代の男性・直人。
電車やバスに乗ると息ができなくなるほどの発作に襲われ、外出できなくなった20代の大学生・美咲。
気分が異常に高ぶり止まらなくなる時期と、何もできなくなるほど落ち込む時期を繰り返す40代の男性・川村。
さらに病棟には、こんな患者たちもいる。
• 夜になると強い不安と幻聴に苦しむ若い男性
• 自分を傷つける衝動を抑えられない女子高校生
• 認知症の初期症状に戸惑い、不安を抱える高齢者
• 長年のストレスで感情のコントロールが難しくなった主婦
• アルコールに依存し、生活が崩れてしまった男性
彼らに共通しているのは、「弱いから」ではなく、それぞれの限界まで頑張ってきた結果、心が悲鳴を上げたということだった。
病棟での生活は規則的で、自由は限られている。
朝の検温、決められた時間の食事、毎日の服薬、作業療法、医師との面談。
外の世界では当たり前だったことが、ここでは「できたら一歩前進」になる。
最初は互いに距離を置いていた患者たちも、同じ空間で時間を過ごす中で、少しずつ言葉を交わし始める。
「今日は少し歩けた」
「発作が来そうだったけど耐えられた」
「ちゃんとご飯を食べられた」
そんな小さな出来事を分かち合うことで、彼らは初めて「自分だけじゃない」と知る。
時には症状が悪化し、夜中に泣き崩れる者もいる。
感情の波に飲まれ、他人と衝突することもある。
それでも、医師や看護師、作業療法士の支えの中で、患者たちは少しずつ「自分との付き合い方」を学んでいく。
そして2週間の入院生活の中で気づく。
回復とは、劇的に元に戻ることではない。
できなかったことが、ほんの少しできるようになること。
退院後も不安は消えない。
それでも彼らは、自分のペースで日常へ戻っていく。