あらすじ

前世で総合病院の病床調整と搬送手配を担っていた青年は、異世界で王都中央治療院の事務方アルハシムとして働いていた。剣も派手な攻撃魔法も使えない彼の武器は、隣に座った相手の“本当に困っていること”だけを拾う稀少な力『隣席心話』と、混乱した現場を瞬時に組み直す判断力だった。満員の治療院で命をつなぎ続けていたが、その手腕を院長セヴランに利用された末、平民患者の死の責任を押しつけられて王都から追放される。 行き場をなくしたアルハシムがたどり着いたのは、灰青の嵐に苦しむ辺境の港町ナーイラ。飛び込んだ喫茶店『雨待ち亭』で、治療師エスメラルダ、便利屋サルマン、無愛想な給仕クロエ、監査役ジュエルらと出会った彼は、店内の椅子や札や食器棚まで使って喫茶店を即席の診療所へ変える。やがて雨待ち亭は、昼は喫茶、夜は診療所という町の命綱になっていく。 しかし、薬不足、船便停止、怪我人の増加は、ただの不運ではなかった。偽薬を流す王都中央治療院、港を弱らせて利権をむさぼる辺境伯ラーディル、そして灰青の嵐を利用する者たちの思惑が、町を静かに追い詰めていたのだ。秋祭りに残された秋刀魚俳句の暗号、クロエが封じてきた恋の歌、剣しか信じなかった騎士シルバの変化。町に集まる小さな声をつなぎ合わせ、アルハシムは仲間たちとともに巨大な不正へ立ち向かう。

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小説を読もう2026/03/24
  • 現在の作品追放された転生満床調整係、辺境喫茶で命をつなぐ ――テレパシー持ちの俺は、満員の治療院も嵐の港町も回してみせる――