あらすじ
その妖狐は、最初から誰かを愛するために生まれたのではなかった。
星を滅ぼすため、厄災の欠片として降り立った、名もなき侵略兵器だった。
けれど、妖狐を憎む町長の娘ユイと、秘密基地に集う子どもたちに出会ったことで、その運命が覆る。
絵本を読み、笑い合ううちに、子どもたちは彼女に名前をくれた。
――ナガレヒメ。
最初は子どもたちを利用するつもりだった。
だが秘密基地は、彼女にとって初めての居場所になる。
町を襲う妖獣。
妖狐を決して信じない町長。
圧倒的な力を持つ完成された妖狐――シロヒメ。
そして、星そのものを覆い尽くす母なる彗星。
何度傷ついても、ナガレヒメは立ち続ける。子どもたちと交わした「必ず帰ってくる」という約束を守るため。
これは、名を与えられた妖狐が、帰る場所を知る物語。
絵本が流星と子どもをつなぐ、九尾の妖狐譚。