あらすじ
人は、自分で選んで生きているはずだった。
岩手で育った主人公は、なんとなく流されるように社会人となり、やがて介護の現場に入る。そこで出会ったのは、ただそこにいるだけで人の判断や感情を“同じ方向”に揃えてしまう女、嵯峨久美だった。
気づかぬうちに人の心を侵食するその存在は、やがて職場だけでなく現実をも歪めていく。仲間の死と不可解な出来事の連鎖の中で、主人公は初めて「選ばされる側」から抜け出そうとする。
これは、すべてが“勝手にそうなる世界”の中で、それでも自分で選ぶことを決めた一人の物語。