あらすじ

謎の連続転落死事件の解明に追われる警察官・芦原仁実(あしはら ひとみ)。 直属の上司である寺田警部は公衆の面前で彼女を罵倒し、増員要望も無視するような人で頼りにすることはできなかった。 仁実は孤立無援で捜査を続けるが、一向に手掛かりは掴めない。 遺体の損傷具合と付近の建物との落下高度の不一致。防犯カメラには被害者が落下する姿しか映し出されていない。発見された遺体はどれも上半身をカラスに無残に食い荒らされている。 遺体の数が増えていくなか、仁実が他刑事の助言により尋ねたのは、秘密裏に人ではないモノが関わった事件を対応する課:秘匿事態収拾課(ひとくじたいしゅうしゅうか)だった。通称《秘匿課》に所属する警視・緑川祥吾(みどりかわ しょうご)とバディを組んで事件を追うことになるのだが、実は彼は普通ではなかった。 中華屋で推定三十人前の食事を終えた後、事件現場の近くのコンビニで袋一杯の買い食い、それだけではなくなんと遺体まで食べ出ようとして――!? 食事を邪魔した仁実だけでなく遺体にまで手を出そうとする緑川警視に、人間の倫理観から彼女は阻止しようとする。 しかし、彼は遺体を食べることでその人の記憶をランダムに覗くことができる能力があることを説明してきた。 信じられないと疑ってくる仁実に緑川警視は能力を証明した。人智を超えた力を持つ彼に仁実は恐怖と戸惑いを覚えるが、事件解決を解決できるならと自分の恐怖に蓋をする。 事件の真相に追っていくうちに、仁実は次第に緑川警視のことを人を食べる無秩序な化け物ではなく、ちょっと変わった味覚を持っている怪異として彼の考え方を尊重することになる。 そのことは人間の機微に疎い緑川警視にも通じており、人間の常識を学習しながら次第に彼女に歩み寄っていく。 これは、遺体すら喰らう人外が、ただ一人、私だけは食べない――人外と人間が互いを尊重して成長していく物語。

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カクヨム
カクヨム2026/03/24
  • 現在の作品遺体すら喰らう警視は、私だけ食べない