あらすじ
雨霧澄花は雨女だ。高校の修学旅行で澄花は沖縄に行くはずだったが、突然の台風に見舞われ、修学旅行は中止となってしまう。そのことについてクラスメイトたちから責め立てられた澄花は羽田空港を逃げ出し、地元の川へと身投げをしてしまう。
十五年後の時代。水神の時雨は自分の領域である川に何者かが紛れ込んだことを察知していた。時雨は水門の足元に流れ着いていた澄花を保護すると、眷属とするとともに妻にした。――澄花には〝雨催いの巫女〟としての稀有な能力があったから。
澄花は時雨の屋敷に連れて行かれ、そこでの暮らしを始める。妻となった澄花への時雨の質問責めや贈り物攻撃に彼女は辟易とするばかりだった。
次第に澄花もまた、時雨のことを知りたいと考えるようになり始める。時雨へのお礼の手紙の内容を考えるべく、中庭に出た澄花はうっかりして御霊石へと触ってしまう。その石は時雨の水神としての力の大きさを示すもので、それが意味する事実を知った澄花は愕然とする。
川の水嵩が減り始め、雨乞いの儀式が執り行われることとなった。儀式は成功し、時雨の治める水域には雨が降った。
雨乞いの儀式が済んでしばらくすると、時雨の留守を狙って、彼の妹の紅雨が訪ねてくる。紅雨に澄花は時雨のことを一人の男性としてどう思っているのか問われ、澄花は戸惑ってしまう。――時雨と澄花の婚姻関係はあくまで契約上のものだったから。
紅雨から時雨が好きな菓子について教えてもらい、澄花は夜に厨房を借りて秋水に教えを乞いながらそれを拵えた。翌朝、澄花は完成した菓子を時雨たちや紅雨たちのもとへと届ける。
菓子の一件以降も澄花と紅雨の交流は続いた。話すうちに、澄花は自分の妹である陽菜のことを思い出し、紅雨にそのことを語って聞かせた。
時雨に避けられ続けている澄花には彼と話したいことがあった。澄花は紅雨から時雨が中庭に姿を見せる時間を教えてもらって、そこへと赴いた。そして、澄花は何だって言葉にしてくれないとわからない、と訴える。
澄花が思いをぶつけてからというもの、時雨と彼女は一緒に過ごすことが多くなった。食事を共にしたり、梅仕事をしたり。そして、いつしか時雨の着物を選ぶのは澄花の役割となっていった。
明らかに二人の距離は近くなっていっているというのに、澄花も時雨も自分の気持ちを自覚できずにいた。澄花は水鞠に諭され、時雨は紅雨に一喝され、ようやく自分の気持ちに気づき、二人は思いを通い合わせた。
二人の心が通ってからしばらくすると、時雨が弱り始めた。時雨の右腕である漣はそれが日輪の巫女の影響であると突き止めると、澄花に彼女の殺害を命じた。
しかし、澄花には日輪の巫女を殺すことがどうしてもできなかった。目的を果たせないまま屋敷に帰ると、漣が澄花にやらせようとしていたことが露見してしまう。澄花が時雨を救うために取った選択とは――!?