あらすじ
管理栄養士として働く私は、決して口には出さないが、患者に対して心の中で「線引き」をしていた。助ける価値のある人間と、どうせ変わらない人間――。
三月の終わり、アルコール性肝障害で運ばれてきた男もまた、「後者」だった。私は職務を全うしながらも、内心では見放していた。
だが、容態急変の瞬間、ほんの数十秒の“迷い”が生まれる。そして男は最期に言い残す。
「……あんた、最初から俺のこと嫌いだったろ」
その一言を境に、日常は崩れ始める。
患者たちの視線。背後に増えていく気配。
そして、繰り返される“見抜かれる言葉”。
これは罰ではない。
選別した者が、選別される側へと回る――
終わらない連鎖の記録である。