あらすじ
五十代後半の男は、誰でも取れると言われるITパスポート資格に五か月も苦戦していた。
やめれば楽になると分かっていながら、意地だけで机に向かい続ける日々。
三文字の略語に追い詰められたある夜、パソコン画面に現れたのは、無数の「0」と「1」。
それはやがて顔となり、過去に挫折した者たちの残像として彼を見つめる。
「合格しなければ、君は0だ」
その言葉とともに、彼の記憶は削られ、代わりに知識だけが埋め込まれていく。
そして迎えた“満点”の結果。
だがそこに記されたのは、名前ではなかった。
人間が“合格か不合格か”のデータに変わる、静かな絶望の怪談。