あらすじ
名家の血を引く少女・白澤アネモネは、“嘘をついた相手の顔が花びらのように崩れて見える”という奇妙な体質のせいで、人を遠ざけて生きてきた。
彼女が十六歳の春に入居することになったのは、表向きは名門子女の保護施設、しかし裏では「この世ならざる因縁」を持つ者だけが集められる閉鎖館――白檻館。
そこで彼女の護衛兼世話係として現れたのは、黒手袋をした美貌の青年・黒曜雪嗣。
彼はアネモネに絶対の忠誠を誓い、どんな毒舌も恍惚として受け止める、少々どころではなくおかしな従者だった。
だが入館初夜、館の“立入禁止の温室”で、館主代理の老婦人が内側から施錠された密室で死亡する。
遺体の胸には、まだ咲くはずのない白いアネモネが一輪。
「犯人は館の住人の誰かです」
そう告げた雪嗣に、アネモネは眉をひそめる。
「……なら、嘘を見抜ける私が、いちばん疑われるでしょうね」
これは、嘘が見える孤独な少女が、
“誰かを信じること”そのものが最大の謎である館で、
愛と秘密と呪いにまみれた事件を解いていく、
微糖で残酷な館ミステリー。