あらすじ

茨城県日立市。 海の見える坂の街で暮らす高校二年生・鷹取透真には、人の気持ちがほんの少しだけ“見えすぎる”癖があった。 飲み物の減る速さ。 制服の袖を直す回数。 声が半音だけ上ずる瞬間。 そんな些細な変化から、相手の無理や諦めや、言葉にしなかった好意まで拾ってしまう。 けれど透真は、それをうまく救えるわけではない。 ただ、見てしまったものを見なかったことにできないだけだ。 所属する生活記録同好会に持ち込まれるのは、校内の小さな相談ごとばかり。 なくなったノート、少しだけおかしい噂、放課後のすれ違い、言えなかった気持ちの置き場所。 そんな日々のなかで透真が気づいてしまうのは、 幼なじみの明るさの奥にある諦め、 完璧美少女の不器用な沈黙、 年上の先輩が冗談に隠した本音、 無口な後輩の静かな独占欲―― この街は広すぎない。 だから失恋しかけた気持ちは、どこへも逃げてくれない。 坂の上でも、駅前でも、海沿いの帰り道でも、 明日になればまた会ってしまう。 近すぎる街で、近づきすぎた心は、簡単には整理できない。 これは、恋に勝てない誰かの気持ちを、 ひとりの少年だけが少し早く見つけてしまう物語。 そして彼自身もまた、 “見えてしまう優しさ”と“踏み込む勇気”のあいだで揺れながら、 自分の青春に答えを探していく、 海風の街の放課後群像劇。

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カクヨム
カクヨム2026/03/23
  • 現在の作品坂の上の負けヒロインたちを俺だけが少し知っている『海の見える坂道で恋に遅れる彼女たちのこと』