あらすじ
西村駿くんの隣にいることは、私にとって「呼吸」と同じだった。 十六年前から、私たちは『家族』という名の足枷で、お互いを繋ぎ止めてきた。 別の誰かへの恋に逃げ込みながら、その停滞のなかに微睡(まどろ)むことが、私にとっての「平穏」だった。
――けれど、その静かな砂時計は、一夏の光に暴かれていく。
彼を救うために選んだ自立さえ、結局は彼を傷つけるための免罪符に過ぎなかった。 誰より近くにいたはずの私が、彼の悲鳴を聞き逃していたことに、気づかされたから。
これは、恋なんて綺麗な名前で呼べるものじゃない。 彼なしでは生きていけない私の、あまりに無様で、切実な生存本能の記録。
本作品は「歪な砂時計の落ちる先―幼馴染のまどろみが終わる時、僕たちは絶望を抱きしめる―」の三十二話までのネタバレを含みます。
ご注意ください。全二話構成となっております。