あらすじ
王城の塔で暮らす、第一王子リオ。
彼の日常は、あまりにも整いすぎていた。
決まった時間、決まった予定、決まった言葉。まるでそこに疑問を抱くことすら、“許されていない”かのように。
だがある日、彼は気づく。
地図に存在しない場所。
記録に残らない空白。
そして──予定に書かれていない“何もない時間”。
その違和感に導かれるように、リオは森へと足を踏み入れる。
そこは、どこか現実からずれた場所だった。
音が消え、形が歪み、──“存在してはいけない何か”がいる。
そこで彼は、一人の男と出会う。
森の中で、あまりにも自然に“そこにいる”男。
何も語らず、何も求めず、ただ静かに存在している。
けれどリオは、なぜか知っている気がした。
この出会いが──“忘れられた何か”に触れるきっかけになることを。
そして。
「僕、選ばれるんですよね?」
その言葉は、自分の意志ではなかったことを。
これは、世界に忘れられた英雄と、ただ一人だけ彼を覚えているはずの王子の物語。