あらすじ
光は、まだ名を持たない。
記憶もなく、理由もなく、
ただ“在る”ことだけを与えられた存在が、
夜明けの海辺で目覚める。
知識はある。
だが、それは断片的で不完全。
見たもの、触れたものだけが、
ゆっくりと“意味”を持ちはじめる。
空腹を知り、行動を知り、
世界というものの輪郭を、少しずつ掴んでいく。
やがて出会うのは、
同じように未完成な存在たち。
名を持つ者。
まだ名を持たぬ者。
役割を与えられた者。
ただ存在するだけの者。
それぞれが曖昧なまま、
それでも惹かれるように集まり、
関わり、ぶつかり、形を作っていく。
大地はまだ安定しておらず、
海は境界を持たず、
空はどこまでも遠い。
“世界”は、まだ完成していない。
それでも――
誰かが線を引き、
誰かが名を与え、
誰かが役割を決めたとき、
そこに“秩序”が生まれる。
それがやがて、
土地となり、
集まりとなり、
やがて――“国”となる。
これは、神の物語ではない。
だが、人の物語でもない。
まだどちらでもない存在たちが、
世界に意味を与え、
自らの在り方を決めていく記録。
光は、まだ名を持たない。
だがその光は、やがて――
世界に最初の“意味”を刻むことになる。