あらすじ
王太子エドガーの婚約者である公爵令嬢リシェルは、わがままで傲慢な悪役令嬢として社交界で恐れられていた。
しかしそれはすべて演技だった。
王家には、敵国と通じる内通者がいる。
それを炙り出すため、リシェルは自ら嫌われ役を引き受け、王太子のそばで情報を集め続けていたのだ。
だが卒業記念舞踏会の夜。
王太子は新たな恋人を伴い、衆目の前でリシェルに婚約破棄を言い渡す。
彼女は抵抗せず、静かに罪を受け入れ、王都を去った。
――それが、この国を見限る最後の日になるとも知らずに。
失意の旅路の先で、彼女を迎えたのは隣国の若き宰相アルベルト。
冷徹無比と恐れられる彼だけが、リシェルの献身と本当の能力を知っていた。
「ようやく、君を奪える理由ができた」
リシェルが去った王国では、隠されていた綻びが次々と表面化していく。
外交、財政、治安、そして王家の秘密。
かつて悪役令嬢と蔑まれた少女こそ、王国を陰で支えていた要だったのだ。
これは、国のために悪女を演じ続けた令嬢が、真実を知る隣国の宰相に溺愛されながら、自分を切り捨てた者たちへ鮮やかに決別する物語。