あらすじ
高一の春、東京から鹿沼に転校してきた藤原晴人は、隣の席の学級委員・椎名千沙と出会う。眠そうで無口な千沙は、なぜか「たぬきはね」と生き物の話で本心を隠す変な子だった。けれど晴人だけは、その言葉の裏にある照れや不安を読んでしまう。
教科書を寄せ、夜に少しだけ長く話し、誰もいない教室で「また明日」を重ねるうち、二人は誰もが「付き合ってるだろ」と思う距離まで近づいていく。けれど晴人にも、千沙にも、簡単には言えないものがある。晴人は痛いと言うのが苦手で、千沙は好きだと言うのが苦手だった。
見つけてもらえたことが、こんなにも嬉しいなんて知らなかった。見つけてしまったから、もう前みたいには戻れないなんてことも。
これは、痛いと言えない少年と、好きと言えない少女が、教室や帰り道や眠れない夜を少しずつ重ねながら、三年かけて心の鎧を脱いでいく物語。