あらすじ

三年間、壁一枚を隔てた夫婦だった。 宮廷魔導師団団長との契約結婚。 妻の仕事は毎晩、壁越しに結界へ魔力を注ぐこと。 顔を合わせず、食卓を共にせず、名前すら呼ばれない日々。 それでいいと思っていた。 私は触媒であり、道具であり、壁の模様と同じくらい透明な存在だった。 だから離婚届を書いた。 丁寧に、一文字ずつ。もう一枚、予備も用意して。 差し出した紙を、夫は破り捨てた。 「君なしでは結界が保てない」と、震える声で。 結界の話だろうか。 それとも。 三年分の沈黙の向こう側に、何があったのか。 答えを知ることが怖いのは、きっと私のほうだ。

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小説を読もう2026/03/23
  • 現在の作品白い結婚だった夫が離婚届を破り捨てた