あらすじ
王太子に夜会の場で婚約を破棄されたリリアンに下された罰は、 誰も嫁ぎたがらない冷酷公爵との契約結婚だった。
渡された契約書には恋愛禁止の条項まで添えられている。 初日の対面でリリアンが最初にしたのは、生活費の倍額交渉。
怯えるどころか笑顔で踏み込んでくる新妻に、 冷酷公爵は耳まで赤くして「黙れ」としか言えない。 この人は冷酷なのではない。 ただ絶望的に、人との距離のとり方を知らないだけだ。
毒蛇と呼ばれた令嬢と、冷酷と恐れられた公爵。 仮面の下はどちらも同じだった。 怖がられることに慣れすぎた、ひとりぼっちの人間。
だが穏やかな日々は長くは続かない。 リリアンが不幸でなければ自分の正義が崩れる王太子が、 二人を引き裂くために静かに手を伸ばし始めていた。
仮面を外したら何も残らないと怯える妻に、 不器用な公爵が絞り出す言葉はあるのだろうか。