あらすじ
夜。とある家のリビング。一人の子供がカーペットにぺたりと座り込んで、うつらうつらと舟を漕いでいた。
暖炉の中では薪が燃えている。時折、ばちりと乾いた音を立てて爆ぜ、小さな火の粉が跳ねた。そのたびに子供の体は反応し、ぴくっと背筋が伸びた。だが次の瞬間には、またゆらりゆらりと頭がゆっくり揺れ始めた。
夫婦は食卓に並んで腰かけ、その様子を目を細めて眺めていた。
「ふふっ、そろそろかな」
「そうね」
二人の囁き声は柔らかく、ぬるい。暖炉の熱と混ざり合い、部屋の空気をゆったりと満たしていた。その温もりが、子供の意識をさらに溶かしていく。