あらすじ
私立女子中学生、神田阿美。
家では継母に疎まれ、学校では「トイレの個室」で一人、白飯を食べる毎日。
そんな日常は、亡き祖母から築四十九年の古びた『葉山アパート』を相続した日に一変する。
入居者は、王子様系の東大生や魔物オタクの秀才少年など、一癖ある人ばかり。
そして床下には、東京の地図から消された巨大な水路――「暗渠」の世界が広がっていた。
代々、地下の淀みを調律してきた『大家』の役目を継ぐことになった阿美。
左手の指輪に宿る火の魔物・ぐざふぁん、生意気なハムスターのフク、そして無二の親友・キノコと共に、彼女は漆黒の水底に沈んだ江戸の未練を解き明かしていく。
「もう、冷たいご飯は食べない」
大切な人のために焼く、黄金色の出し巻き卵。そしておにぎり。
その温もりが、東京の闇を優しく照らし出す――。