あらすじ

故郷の月夜は美しい。 美しい月ほど強く心を引き、懐かしさの光で人を足止めしようとする。 月読峠では、町を離れる年頃の子供たちへ古地図を渡し、土地に残る史跡を歩かせる風習が続いていた。 忘れないでほしい。けれど、囚われないでほしい。 その矛盾した願いを抱えたまま、大人たちは何代にもわたり、地図へ故郷の記憶を託してきた。 古書店で働く楽々浦夜と、町に縁を持つ転校生・辻文七巳が辿り着くのは、町の秘密ではなく、送り出す者たちの静かな祈りである。 だがその始まりに、古くから史跡として語られてきた巨大な蛇の化石が、月読峠へ外の世界の人々を呼び込んでしまう。 『蛇よ、どうか今宵は月に溺れぬように』 それは、故郷を愛したまま、それだけに縛られず未来へ進んでほしいと願う、大人たちから子どもたちへの言葉。 これは、ふるさとに残る月夜の景色と記憶を胸に、自分の行き先を見つけていく物語。

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カクヨム
カクヨム2026/03/22
  • 現在の作品蛇よ、どうか今宵は月に溺れぬように