あらすじ
いっそ壊してしまえばいいと思っていた。
どうせ俺は普通でいられないのだから。
誰も「悪い子」のその中身には気づかないのだから。
いつか裏切られるのだから。
いっそ壊して欲しいと思っていた。
どうせ私は普通でしかいられないのだから。
誰も「良い子」のその中身には気づかないのだから。
いつか裏切られるのだから。
そう思っていたはずなのに、出会ってしまった。
一番求めていて、一番知りたくなかった感情に囚われてしまった。
何度、離れてしまえば楽だと思っただろうか。
何故、こんなにも手を離せないのだろうか。
壊しても壊しても当たり前のように受け入れる。
いらないと思っていた普通を欲してしまう。
俺が隠してきた「悪い子」の中身を引きずり出して包み込もうとする。
それでも、いつか裏切られるのだろうか。
壊れても壊れても当たり前のように受け入れる。
収まらないといけないと思っていた普通を否定してくれる。
私が囚われていた「良い子」の外身を砕いて解放してくれる。
それでも、いつか裏切られるのだろうか。
人は依存だというだろう。
はたまた狂っているというだろう。
それでも良かった。
それでも自由になれるのはここだけだった。
奪われるくらいなら、世界に背を向けて飛んだって構わない。
あぁ、まあいいか。
いつかくるかもしれない裏切りに怯えているよりも、今はこうして二人でただ水の底に沈んでいたい。
愛か、狂気か、はたまた純愛か。
そんな壊れかけの二人の話。
※本作には一部、性的な描写や暴力行為を連想させる表現が含まれますが、性愛そのものよりも、欠落を抱えた二人の精神的な交錯を描くことに主眼を置いています。
※本作はnoteにて先行公開している作品の、本人による転載です。一部加筆、修正しています。