あらすじ

支配的な母親に育てられた大学生、駿河涼平は、自分の人生を奪われ続けていた。厳しい門限を定められ、交友関係はすべて把握され、行動を制限・管理される日々の中で、彼は自分を救ってくれる神などいないことを悟っていく。鳥籠に囚われたままの青年が自由を掴み取るためには、たった一つの方法しか残されていない。それは、自らの手で母を殺すことだった。 綿密な計画を立て、母の誕生日に母を殺し、代わりに自分が新しく生まれ変わろうと考えた。しかし、決行日当日、犯行に使うためのものを買って大学から帰宅した涼平を待っていたのは、血に染まって事切れている母の姿だった――。十九年間の半生で募りに募った最高密度の憎しみが、やり場を失う。「今日、僕が殺すはずだったのに……!」「僕は、誰を殺せばいい……?」 現場を見た警察が下した判断は「自殺」。だが、自分を苦しめてきた母が、実は精神的に参っていただなんて信じたくない涼平は、絶対に他殺だと言い張る。憎悪が、衝動が、母を殺した見えない犯人へと向いていく。他殺の証拠を挙げるため、生前の母について調査を始めた。職場、祖父母、逃げていった元父親、メンタルクリニック、そして丁寧に積み上げられた日記。調査を進めるごとに、浮かび上がってくる母の本当の姿、過去への贖罪、涼平を支配するに至った本当の理由。 愛と支配、加害と被害の境界が歪んでいく。犯人を追い詰め、母の代わりにそいつに研ぎ澄まされた刃を突き刺せば、救われると思っていた――。だが、真実が明かされるとき、涼平は”本当に殺すべき対象”は何だったのかを知ることになる。本当に悪いのは誰なのか。何がいけなかったのか。どうして、こうなってしまったのか。歪んだ愛を跳ね除け、羽を広げて大空を舞うために。まっさらなページから自分の本当の人生を始めるために。本当に殺すべきものを見つけるまでの成長と救済の心理サスペンス。

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カクヨム
カクヨム2026/03/22
  • 現在の作品僕は、何を殺せばいい?