あらすじ
魔王軍との百年戦争が終結して三年。
世界は平和を迎えるどころか、魔力毒による土壌汚染と深刻な食糧難により、緩やかな死の淵にあった。
王国は生き残るため、冷徹な「命の選別」を開始。
地方の村が存続に値するかを査定する冷酷な監査機関『王立魔導調査局』に若くして登第した少女・エルナは、周囲から「血も涙もない悪魔」と恐れられる査問官として辺境の村々の監査を行なっていた。
彼女は、凄惨な孤児院での飢餓経験から一切の感情を切り捨てた、純粋な『計算機』。
魔法の痕跡を色や数式として視認する特異な目を持ち、この世界を支配する絶対的な物理法則と「コスト(損得)」にのみ、恐ろしいほど“素直”に従う合理主義者だ。
「村を救った聖女の無償の奇跡」
「魔族から砦を死守した英雄の自己犠牲」
涙を誘う美しい物語に、同行する熱血騎士・クライヴは深く感動する。
しかし、エルナの冷酷な計算式は、その裏に隠されたおぞましい禁術や、人間の醜い生存競争による「質量の矛盾」を容赦なく暴き出していく。
「無から有を生み出すような奇跡は存在しません。――徹底的に帳尻を合わせさせてもらいます」
だが、善悪を越えた彼女のその『狂気的なまでの合理性』は、時に誰も予想できなかった最適解を導き出し、理不尽な死の運命から人々を救い出すこととなる。
これは、枯れ果てた狂った世界で、一人の少女が「冷徹な算数」を武器に生き抜き、世界の嘘を論破していく特殊設定ファンタジー・ミステリ。