あらすじ
桃色の朝と、甘い香りのランタン。
黒猫は何も語らず、ただ隣を歩く。
少女エリンは、巡礼の旅に出る。
白いローブに身を包み、祈りを装いながら。
けれどその胸にあるのは、信仰ではない。
「外の世界を見たい」という、ひとつの渇望。
その願いに応えたのは――
ランタンに封じられていた、ひとりの魔王だった。
優雅で、気まぐれで、どこか空虚な存在。
彼女と交わした契約は、少女を世界へと連れ出す。
街を巡り、人と出会い、言葉を交わすたびに、
エリンの輪郭は、わずかに揺らいでいく。
これは、変わらないものと、変わっていくものが交差する旅。
そして、灯りの奥に潜む何かへと、静かに近づいていく物語。