あらすじ
「君……とんでもないことをしてくれたね……」
「ほ、本当に、大変申し訳ございませんでした!」
「もういいから。何度謝られてもね……」
「すみません……」
おれは深く頭を下げたまま、喉の奥からかすれた声をなんとか絞り出した。
やってしまった――その言葉だけが、頭の中でガンガンとぶつかり続けている。
取引先との契約書の作成を任されたのだが、納期の記載を誤記してしまったのだ。結果、先方のスケジュールに大きな狂いが生じ、違約金まで発生させた。そのうえ、長年築いてきた信頼関係に亀裂が入ってしまったらしい。
何度も見直したはずなのに……なんて、言い訳など口にできるはずもなかった。
床のシミが、やけにくっきりと浮かび上がって見えた。