あらすじ
「夫が死んだ日、すべて手に入った」―離婚届は、まだ引き出しの中―
夫が死んだ日、
世界はやさしくなった。
泣き方は知っている。
声を震わせて、肩を落として、
「どうして」と呟けばいい。
誰も疑わない。
白い封筒の中には、
未来が詰まっていた。
保険金という名前の救済、
ローンの消えた家、
毎月、静かに振り込まれる安心。
ねえ、あなた。
生きていた頃より、
ずっと役に立っているよ。
引き出しの奥、
薄く折れた紙が一枚。
あなたが差し出した、終わり。
私が出さなかった、終わり。
あの日、署名していたら
私は何も持っていなかった。
だから、ありがとう。
最後まで、
私の“夫”でいてくれて。
今日も私は、
未亡人として微笑む。
うふふ♡