あらすじ

明治二十七年。商いに失敗した旅人・景司は、古歌「みちのくのしのぶもぢずり」に惹かれ、奥州信夫の里を訪れる。そこでは古くから、山の石に布を押し当てて染める「しのぶもぢずり」が作られていた。景司は染め物職人の娘・春乃と出会う。彼女は三年前、東京の青年との約束を信じて待ち続けていたが、恋の行方は不確かなままだった。やがて青年が里を訪れ再会を願うが、長い時間の中で春乃の心は変わっていた。石に染め出される模様が二度と同じ形にならないように、人の心もまた元には戻らない。恋の終わりを見届けた景司は、信夫の里を後にする。乱れた模様を宿した染め布を手に、彼は人生の旅路の中で、人の心の美しさと哀しさを静かに思うのだった。

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エブリスタ2026/03/11
  • 現在の作品しのぶもぢずりの旅 明治の景司旅日記