あらすじ
景司は、何かにつけて「風が悪い」が口癖の神経質な男である。町の噂や体裁を人一倍気にし、寄付の順番、祭りの作法、人の立場など細かいことに口を出しては周囲を振り回していた。親友の崇はいつもその愚痴や理屈を聞かされる役回りだ。しかし景司の「体裁を整えろ」という理屈は、不思議と物事を丸く収めてしまう。祭りの寄付争いでは寄付競争を生み、踊り手不足では町民総踊りを実現させ、さらには大名行列に遭遇した際も祭りで迎えるという大胆な判断で事なきを得る。いつしか町では景司を「風を読む男」と呼ぶようになる。本人はただ世間体を気にしているだけだと否定するが、町の騒動は今日も彼の一言で整えられていく。神経質で小心者の男が、いつの間にか町の風を整える存在になっていく様子を、温かな笑いとともに描いた人情小説。