あらすじ
母はある夜、私にこう言った
「幸せになれるおまじないをかけるね」
頭に手を置く
髪を撫でる
頬に触れる
首へ指を滑らせる
最後に額へ触れて小さく言葉を囁く
それは意味のない音の並びだった
当時の私は、ただ少し嬉しかっただけだ
母に優しくされていることが
―― 母が亡くなるまでは。
遺品の中から見つかった古いノート
そこには小さく、こう書かれていた
『幸せになるおまじない』
あの夜と同じ手順、そして意味のない言葉が書かれていた
ノートの端には、母の字でこう残っていた
「意味はなくていい。手順を間違えないこと。願うこと」
それから何年も経ち、私は母になった
夫の失業
減っていく貯金
進学を控えた娘
娘の様子が、少しずつ変わっていった
そして娘はいつからか
『大丈夫』とばかり言うようになった
何かを遠慮するように
何かを最初から諦めているように
その声を聞いた時――
私は思い出してしまった。
あの夜、母が私にかけてくれた
『幸せになるおまじない』を。
※本作品はAI共作です。