あらすじ
居酒屋で出会った大和と葵。
惹かれたのは、葵だけではなかった。
けれど、大和には妻がいた。
2人は気づかないふりをして、
胸の奥に灯った小さな光をそっと隠した。
大和の妻・美咲が乳がんを患っていると知り、
葵は想いを断ち切るように店を去る。
その直後、美咲は静かに息を引き取り、
大和はすべてを抱えたまま、雪の季節の北海道へ消えた。
葵への想いごと、深く胸に沈めて。
一方、葵も母の乳がんという同じ痛みに直面し、
誰かを愛しても、心の奥には
“大和に触れられなかった日々”が影のように残り続けた。
大和もまた、葵の笑顔を思い出すたび、
胸の奥で消えない灯りが静かに揺れていた。
互いを知らぬまま20年。
すれ違い続けた2つの人生は、
もう交わらないはずだった。
交わってはいけないと、ずっと思い込んでいた。
それでも——
雪の季節が巡るたび、
遠く離れた場所で、
同じ灯りが2人の心を照らしていた。
まるで、見えない糸が静かに引き寄せるように。
運命は、
長い冬を越えた2つの影を、
再び同じ場所へ導こうとしていた。
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