あらすじ
佐藤あやめは、台風の日、白い猫を助けようとして、川に落ちてしまう。
そして、助けてくれたのは、黒髪に青い瞳のシリルだった。
目が覚めると紫の髪と瞳の美少女になっていたあやめは、シリルに色々聞かれるが「異世界転生しました」とは言えず、戸惑う。
すると、食堂をやっているマーシャが、「記憶喪失」と勘違いして話しを進めていく。その好意にあやめは甘える形で、アイリスと呼ばれマーシャの店で働きながら楽しく暮らしていた。
アイリスとなったあやめの元には、あの時助けた白い猫が、寄り添っていた。そして、その白い猫は、アイリスに加護として、スキルを授ける。
異世界転生と言えば、「チート能力」を期待。それなのに、授けられたのは微妙な「猫スキル」。それに不満を感じつつも、猫と話せるなどのささやかなスキルにワクワクしていた。
その頃、街では密かに危険な薬物「テザレ草」が出回り始め、同時に「紫の髪の少女」を探す手配書も出回り始める。騎士シリルはその異変を追う中で、アイリスの存在が隣国ルスュークル王国の失踪した姫君と関係している可能性に気づく。
ルスュークルでは王位を巡る政治の混乱が起きており、正統な血を引く姫姫は軟禁状態にあったという噂があった。もし彼女が生きていれば、王位争いの「旗印」になり得る存在だった。
一方で、サラゴサではルスュークルの商人を中心とした密売組織が暗躍し、内部に協力者がいる可能性も浮上する。街の治安を守るため、アーヴィル領の総領デュランはこの件を極秘で調査することを決め、弟であるシリルに現場の対応を任せる。
やがて、自分が追われている理由を知ったアイリスは、ただ守られるだけの存在でいることを拒み、自ら真実を知るため行動する決意を固める。エイブリーの商団に身を寄せながら身を隠すことになるが、その移動をシリルが護衛することになり、三人の関係は少しずつ変化していく。
港町の裏で広がる陰謀、王国を揺るがす政治の思惑、そしてそれぞれの立場と想いが交差する中で、アイリスの運命は大きく動き始める――。