あらすじ
ネオンに染まる夜の街。
そこは、恋が商品になり、愛が曖昧に消費されていく場所。
“彼女”はそこで働いていた。
愛想笑いを伝票に乗せ、恋を売り、恋を買う日々。
普通の恋も、当たり前の愛情も知らないまま、
危うい関係に染まり、少しずつ壊れていく。
そんな彼女を、ただ見てしまった“僕”。
彼女が大切にしていた安っぽいキーホルダー。
そこに宿っていた、ほんの一瞬の“普通”。
けれど、それすらも失われていく。
心を削り、身体を壊しながら、
それでも夜に立ち続ける彼女。
涙はアルコールに混ざり、
本当の感情は、味のわからないまま流し込まれていく。
それでも彼女は、信じている。
「この夜が明けたなら、愛してもらえる」と。
救えなかった“僕”は、ただ知ってしまう。
壊れていく人間が、あまりにも静かで、美しいということを。
これは、恋を知り、愛を知らなかった一人の女性と、
それを見届けることしかできなかった“僕”の物語。