あらすじ

江戸の片隅で大工として働く弥一は、ある日、鑿の影から現れた小さな神様――ノミの神・正と出会う。 「人の心は木と同じ。 歪んだまま放っておくと、世界ごと割れてしまうよ」 そう告げる正と共に、弥一は“心の歪み”が形となって現れる異界―― 魔窟(まくつ)へ踏み込むことになる。 魔窟の中には、言えなかった言葉、押し殺した感情、 誰にも見せられなかった本音が渦巻き、人を呑み込み、壊していく。 弥一は鑿を手に、正の導きで“歪み”だけを削り、人々の心を救っていく。 しかし、魔窟が開くたび、世界のどこかに小さなひびが走る。 弥一は気づかない、正だけが、そのひびの広がりに怯えていた。 やがて、最も大切な存在――弥一の師匠の心が限界を迎える。 長年、魔窟に向き合い続け、心をすり減らし、疲弊しきった師匠。 その心が折れたとき、江戸を呑み込む最大の魔窟が開く。 世界を支える“御柱”となれるのは、 師匠か、弥一か、それとも――。 心を削り、世界を救う。 大工と小さな神様が紡ぐ、江戸幻想譚。 そして最後に訪れる、 静かで、痛くて、優しい別れ。

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小説を読もう2026/03/22
  • 現在の作品心削り師 弥一とノミの神