あらすじ
「ぼくのぜんぶを、あなたのために」――限界を超えて倒れた若き天才呪師と、彼を慕う記憶喪失の幼子が交わす、狂おしくも純粋な魂の誓い。
特例で皇宮と神殿の双方で魔法を学ぶ、五歳の記憶喪失の少年・アイン。
魔力をそのまま操る『見者(けんじゃ)』という規格外の才能を持つ彼は、先の事件による大怪我が完治しないまま、退院後初めての授業に臨んでいた。
アインのトラウマを克服させるため、あえて過酷な魔法「幻影人形」を用いた実技指導役の皇宮呪師インス。
しかしその直後、インスはかつて教員から受けた拷問まがいの教育による「精神の傷」が限界を超え、大人たちの目の前で昏倒してしまう。
インスが目を覚まさないまま数日が過ぎる中、アインはその異常すぎる学習速度ゆえに「これ以上の詰め込み教育は不要」と判断され、スケジュールの緩和を言い渡される。
「これまで通り」を奪われ、自分の居場所がなくなることに怯え、孤独に震えるアイン。
彼が心の底から望んだのは、自分を身を削って導いてくれたインスに逢うことだった。
大人たちの計らいで医務殿を訪れたアインは、眠り続けるインスの前で、自身の「すべて」を捧げる狂気じみた誓いを立てる――。
過酷な世界で傷ついた二人が織りなす、依存と執着、そして救済のダーク・ファンタジー。