あらすじ
夜になると咲く、黒い花。
その花に触れると、“誰かの記憶”が流れ込んでくる。
それは、どれも優しくて、どこか懐かしい記憶だった。
繰り返し触れるうちに、私は気づく。
同じ“誰か”の記憶ばかりを見ていることに。
知らないはずなのに、どうしてこんなにも苦しいのか。
どうして、こんなにも大切に思ってしまうのか。
やがて辿り着く、ひとつの記憶。
それは——別れと、取り返しのつかない瞬間だった。
そして私は知る。
その記憶の中にいたのは、他人ではなく——
“私自身”だったことを。
静かな絶望と記憶を描く、短編ミステリー。