あらすじ
余命三ヶ月——その宣告を受けた直後、私は婚約者に捨てられた。
「お前の作る香りは下品だ」
五年間、心を込めて調合し続けた香水を「卑しい」と罵られ、最高傑作は目の前で床に叩きつけられた。病を理由に婚約破棄され、実家からも追い出された没落子爵家の娘・リリアーヌ。
けれど私は知っている。王都で『魂を込めた香り』を調合できる調香師は、私だけだということを。
残された時間はあと僅か。ならばせめて、最後は自分のために生きよう。私の価値を知らぬ者のために、二度と香りを調合する気はない。
——そんな私の前に現れたのは、無表情で冷徹と噂される王太子殿下。
「お前の香りを、私にくれ」
彼は私の調合した香りに、誰も見たことのない『色』を見るという。死を覚悟した調香師と、孤独な王太子。二人の出会いが、運命を大きく変えていく。
私を見下した元婚約者が、やがて全てを失っていくことも知らずに——。
これは、余命宣告を受けた調香師が本当の愛と自分の価値を見つける、再生と逆転の物語。