あらすじ
大学三年の春。
アユミは、ボランティアサークルの活動を通して、炊き出しや夜回りに参加していた。
そこで出会ったのは、「よっさん」と呼ばれる一人の老人。
ホームレスでありながら、どこか貴族のような話し方をし、哲学的な問いを投げかけてくる不思議な人物だった。
「君は、なぜ“助ける側”に立てているのかな」
その言葉をきっかけに、アユミの中で「善意」は揺らぎ始める。
助けようとして拒まれる人。
何も変えられない現実。
それでも続ける意味。
やがてアユミは気づいていく。
人を「助ける」ことの難しさと、
それでも人と関わり続けることの理由に。
川沿いのベンチで交わされる、静かな対話。
問いは答えを求めず、ただ心に残る。
これは、誰かを救う物語ではない。
誰かの隣に座ろうとする、一人の大学生の一年の記録である。