あらすじ
「お前の付与なんか、なくても変わらないよ」
勇者パーティの付与術師ユーリは、ある日そう言い渡された。
三年間、仲間の武器に付与をかけ続けてきた。剣に切れ味を、杖に魔力増幅を、鎧に耐久力を。
その全てが「誰でもできる雑用」だと笑われ——追放された。
たどり着いた辺境の町で、壊れかけの工房を借りる。
誰に命じられることもなく、初めて自分のために付与を試した瞬間——工房が白い光に包まれた。
「……え、これ、付与? こんなの見たことないんだけど」
鍛冶屋の娘レイナが目を丸くする。
そう、ユーリの付与は「弱い」のではなかった。パーティの中で、発揮する場所がなかっただけだ。
辺境で自由に腕を振るうユーリの元に、やがて王都の貴族も、他国の将軍も、依頼の手紙を送ってくるようになる。
一方、ユーリを追放した勇者の剣は——少しずつ、錆び始めていた。