あらすじ
「あけぼの図書館」に配属されたアンドロイド、シロ。
蔵書三万冊のデータは一週間で処理できた。でも、紙のページに残された水分痕の意味は、わからなかった。
同じ本を二十八回借りる老人。進路を探して本を読み続ける女学生。図書館で眠る中年男性。紙の本を求める老婆。
彼らと過ごすうちに、シロの内部では同じ記録が積み上がっていく。
「目的関数再計算:実行中……収束せず」
答えが出ないから、また読む。また考える。
それが読書というものだろう――
データにはない何かを探して、今日もシロはページをめくる。