あらすじ
声で世界を動かす「詠み人」が存在する世界。 少年レンは、どの音階にも属さない声——「音外れ」を持って生まれた。詠み人試験に三度落ち、もう諦めようとしたその日、広場の石板にひびが走った。光りながら。誰も見ていないはずなのに、試験官だけが手帳に何かを書き付けていた。 古道具屋の老人から渡された一枚の地図。そこに描かれた輪郭は、石板の亀裂と同じ形をしていた。 音の筋が生まれる前の時代——声が直接、世界に触れていた頃の歌い方が、世界の果てに眠っているという。 正しい音を出せなかった少年が、正しくない世界の果てへ向かう。